糖尿病について
-ちゃんと知っておきたいあれこれ-

 

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さっぽろ山鼻内科は2018(平成30)年11月、この地で長年「まちのお医者さん」として尽力されてきた旧「浅間医院」の跡地を借り受けて新築開院いたしました。当院は内科の医院として風邪や胃腸炎など、日常よく起こるちょっとした体調不良、各種の予防接種や特定健診・一般検診を行っておりますが、院長がもともと専門として北大病院や札幌市内・北海道内の各医療機関で診療を行ってきた「糖尿病」という病気の診療にとくに力を入れています。

⇒当院で診療を行う疾患や、行っている検査などについてはこちらのページをご覧ください。また、当院の診療の実際や流れについてはこちらへ

 

糖尿病の国内最大の医学団体「日本糖尿病学会」が認定した「糖尿病専門医および研修指導医」の資格を持っている医師は、中央区山鼻およびそれ以南の地区では現時点で当院院長のみであり、当院には中央区内のみならず、南区・清田区の糖尿病専門医が身近にいない地区からも糖尿病の患者さんが来院されております。

「糖尿病」とは何か、なぜ・何のために糖尿病を見つけ治療をするのか。開院からの2年間、多くの患者さんから頂いた疑問点に答える形式で、当院の糖尿病についての考え方や診療の実際について-以前にもこの当院サイトに記載した内容を再編して、皆さんにお伝えしたいと思います。

 

  1. そもそも「糖尿病」って何なのですか?

  2. 「太っているから」「甘いもの、美味いものを食べ過ぎたから」糖尿病になるのでしょうか?

  3. 糖尿病になるというのは、めずらしいことなんでしょうか?

  4. 糖尿病では、何か自覚症状とかはあったりするのでしょうか?

  5. 症状が無ければ、糖尿病でも治療や受診はしなくてもいいでしょうか?

  6. 糖尿病かどうかは、どのように検査するのですか?

  7. 糖尿病の治療って、何をするのでしょうか?

  8. 糖尿病は「治る」のでしょうか?

  9. 糖尿病でとくに気をつけるべきことは何でしょうか?

  10. 糖尿病になってしまったら、仕事とか、日常生活はどうなってしまうのでしょうか? 生命保険に入れないとかの不利益もあると聞いたのですが…

  11. 糖尿病では、医療費はどれくらいかかるのでしょうか?

  12. 糖尿病の通院をやめると(あるいは、以前通院していたがやめてしまっているのですが)、どうなりますか?

  13. 結びに

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そもそも「糖尿病」って何なのですか?

私たちヒトも含めて生き物は皆、「生きるため」に「食べ」、食べるために生きています。口から食べたものは胃・小腸・大腸といった消化管を通って便として排泄されますが、その過程で、食べたものに含まれる様々な栄養分が身体に吸収されます。「三大栄養素」といわれる糖質・タンパク質・脂肪のうち、糖質は体内で素早くエネルギーになることができ、また脳や神経系が唯一エネルギー源にすることができる栄養素です。糖質は小腸から血液へ吸収され「血糖」となりますが、血糖が身体の様々な細胞や臓器でエネルギーに変換されるには、血糖が細胞のなかへ取り込まれなくてはなりません。その血糖の細胞への取り込みに必要不可欠な物質、それがお腹の真ん中にある膵臓(すいぞう)で産生される「インスリン」です。

しかし、インスリンが、何らかの原因で膵臓から産生されなくなったり、あるいは産生はされていても、上記の「糖の取り込み」作用を発揮できなくなると、血糖が血液中にあふれてしまい(それが「高血糖」というものです)、あふれた糖の一部は腎臓(じんぞう)から尿として出てくるようになります。これが「糖尿病」という状態です。

糖尿病という病気は現代に始まったものではなく、約3500年前の古代エジプト時代からすでに記録があります。インスリンが発見されたのは今から100年ほど前の1921年のことであり、糖尿病の病態や治療についての研究はこの100年間で大きく進歩しました。

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「太っているから」「甘いもの、美味いものを食べ過ぎたから」糖尿病になるのでしょうか?

まず先にお伝えしておきますが

肥満体型でも、大食いであっても、糖尿病にならない人がいる

やせ形であっても、大食いでなくても、糖尿病になる人がいる

この両者とも答えは「はい」です。

私たちヒトは皆、両親、そのまた両親、そして先祖から受け継いだ「遺伝子」を持っています。ヒトには約2万の遺伝子があり、肌や瞳の色、髪の毛…その他私たちひとりひとりが持つ特徴は、1つ1つの遺伝子の有無、あるいは遺伝子があたかもスイッチのようにオン・オフすることなどによって決まりますが、ある病気へのなりやすさについてもこの「遺伝子」が関わっているケースはしばしばあります。

インスリンの「糖取り込み作用」が低下することで起こる「2型糖尿病」は、糖尿病のなかで最も多い(約95%)タイプのものですが、日本人では2型糖尿病患者の約4割が糖尿病の家族歴をもつ(親や同胞に糖尿病の人がいる)ことが約40年前から明らかにされています。2型糖尿病の発病に関わっているとされる遺伝子は現在130個以上見つかっており、それらの遺伝子を親や先祖から受け継いでいる状態で「様々なストレス」「環境要因」「加齢」などの条件が加わると2型糖尿病を発病すると考えられています。

また、「親も同胞にも糖尿病の人はいないのに」糖尿病を発病する方も少なくありませんが、我々の祖先は飢餓に耐えしのぶために、食物から得たエネルギーを体内に蓄積する仕組みを「飢餓遺伝子(倹約遺伝子)」として身に付けました(現代日本人の約4割が飢餓遺伝子を持っていると言われています)が、その飢餓遺伝子が現代人にとっては体内エネルギー余剰状態を引き起こし糖尿病などに繋がってしまうことも示唆されています。

そして、膵臓からインスリンが産生されなくなってしまうことで起こる「1型糖尿病」は、体内の免疫機構の異常やウイルス感染、その他の要因が引き金になって発病するとされていますが、遺伝や生活習慣とは全く関係がないということは事実です。

血糖の一部は脂肪細胞にも取り込まれ、脂肪組織が増えれば肥満をきたしますが、ひとくちに脂肪といってもインスリン作用低下などに繋がりやすい悪玉の「内臓脂肪」とそうでない「皮下脂肪」、脂肪を貯蔵するのがメインの「白色脂肪細胞」と脂肪を燃焼させる効果のある「褐色脂肪細胞」とがあり、それらの作用やバランスも年齢や性別、遺伝要因によって異なるため、肥満体型でも糖尿病にならないということも少なくありません。また日本人では、やせ型でインスリン産生がやや低下している2型糖尿病患者も多くみられ、遺伝的要素などの関連が考えられています。

以上のようなことから、糖尿病は「太った人」「美食家」だけがかかる病気ではなく、誰でも一生のうちにかかる可能性がゼロではありません。糖尿病になった人や自分について、過去の生活習慣などを過剰に責めるというようなことは間違いです。

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糖尿病になるというのは、めずらしいことなんでしょうか?

全くそうではありません。糖尿病は「他人ごと」ではなく「多人ごと」です。

厚生労働省の国民健康・栄養調査では、我が国の糖尿病患者は1997(平成9)年の時点では690万人、糖尿病の可能性がある人は680万人でしたが、2016(平成28)年には糖尿病患者1000万人、可能性がある人も1000万人、あわせて2000万人、「日本人の6人に1人」が糖尿病もしくはその前段階となっております。あなた自身もしくは身近な誰かが「糖尿病」である可能性があるといっても過言ではありません。

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糖尿病では、何か自覚症状とかはあったりするのでしょうか?

2型糖尿病については、糖尿病状態になっても殆どの場合症状がありません。

ある程度以上、ある一定期間以上高血糖状態が続いていると、のどの渇き、トイレが近い・尿量が多い、ダイエットしていないのに体重が減る、すぐにお腹が空く、疲れやすくなる、こむら返り(足のつり)がよく起こる、眼がかすむなどの症状が出やすくなります(逆に、これらを複数自覚している場合は、糖尿病としての病状がある程度以上に進行している可能性もあります。)

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症状が無ければ、糖尿病でも治療や受診はしなくてもいいでしょうか?

がんなどの悪性疾患と同様、糖尿病も自覚症状が全く無いうちから進行していく病気です。

糖尿病によって侵されるのは、全身に張り巡らされた血管です。血管によって栄養されている臓器のなかでも眼の網膜と腎臓のほか、全身の神経(とくに足の末梢神経や、内臓系を調節する自律神経)が傷害され、「神経障害」「網膜症」「腎症」「糖尿病の三大合併症」と呼ばれています。これらは細い毛細血管が侵されることによるものですが、太い血管が侵されると「足壊疽(えそ)」脳梗塞、心筋梗塞を起こしてしまいます。心血管系の合併症のリスクは、糖尿病の前段階である「境界型耐糖能異常」(食後に血糖値が上がりやすい状態)の時点で既に高まっていることも知られており、とくに働き盛り世代の方が心筋梗塞などで突然死する背景に、未受診または治療を途中でやめた糖尿病や耐糖能異常などが隠れていることはしばしばあります。

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糖尿病かどうかは、どのように検査するのですか?

糖尿病の診断のために行う検査は血液検査(採血)です。

空腹時血糖値(前夜から10時間以上空腹で、朝食前に採血した血糖値)

随時血糖値(①以外の条件で採血した血糖値)

ヘモグロビンA1c(後述)

普段の診療では、この3点が大事な評価項目になります。

空腹時血糖値が126mg/dl以上、または随時血糖値が200mg/dl以上ある状態で、ヘモグロビンA1cが6.5%以上あれば「糖尿病」の診断となります。

ヘモグロビンA1cが6.5%に満たなくても、空腹時または随時血糖値が上記以上を呈していて、かつ糖尿病で典型的症状があったり、網膜に糖尿病網膜症がみられる場合も、糖尿病の診断となります。

これらを満たしていない場合は、後日に再度採血を行って再評価します。また、糖尿病の可能性が高い、または今後糖尿病になる可能性が高いと考えられるような場合は「経口ブドウ糖負荷検査」を行うことがあります。

※ 血糖値およびヘモグロビンA1cは、「札幌市とくとく検診」や「特定検診」の必須項目にも含まれております。当院ではこれら検診を随時行っております、詳しくはこちら

※ 当院では経口ブドウ糖負荷検査は糖尿病診断目的にのみ実施しています。「低血糖症」の診断や治療は現在当院では実施しておりません。

 

★ ヘモグロビンA1c(エーワンシー)とは
別名「糖化ヘモグロビン」といい、赤血球中のヘモグロビン(血液の「赤み」)のうち、血糖と結合したヘモグロビンがどれくらいあるかをパーセンテージで示した数値です。ヘモグロビンが糖と結合すると離れにくいため、採血した日からさかのぼって1~2ヶ月位の期間の血糖値がどうであったかを示す指標として用いられています。

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糖尿病の治療って、何をするのでしょうか?

当院ではまず、治療方針を決める前に、患者さんの糖尿病のタイプ(前記した「1型」か「2型」か)を血液検査で明らかにし、その結果に応じて方針を立てていきますが、糖尿病の治療は下記の3点が柱となります。

①食事療法

②運動療法

③薬物療法

糖尿病のごく早期と考えられる場合(ヘモグロビンA1cが6%台でかつ糖尿病合併症を1つも認めない、あるいは糖尿病の前段階「境界型耐糖能異常」など)、食事療法・運動療法を行いながら2~3ヶ月毎に血糖値などを検査するという形もとられますが、それ以外の場合は薬物も併用して治療を行っていきます。薬物治療には内服薬と注射薬がありますが、内服薬

・インスリンの「糖のとりこみ作用」を改善させる薬

・膵臓からのインスリン分泌を促進させる薬

・血中への糖の出入りを調整する薬

の3つに大別されます。注射薬には、インスリンを直接補うインスリン製剤と、膵臓からのインスリン分泌を促したり、満腹感をもたせ体重を増加しにくくするなど多彩な効果をもつGLP-1受容体作動薬の2つに大別されます。

膵臓からインスリンが産生されなくなる1型糖尿病では、働かなくなった膵臓に代わって、インスリンを補うために自己注射を行います。インスリン注射も昔は病院で打つような小型の注射器を用いて行われておりましたが、今では薬液があらかじめ充填された製剤に、長さは4mmほど、髪の毛くらいの細さの針(世界一細い注射針ともされています)を装着して、1日3~4回の自己注射を行います。糖尿病の大多数を占める、膵臓からインスリンは産生されていても「糖の取り込み作用」を十分に発揮できない2型糖尿病の場合は、たいていは1~3種程度の内服薬で治療しますが、膵臓からのインスリン産生力が低下している場合や腎臓機能が落ちていて内服薬が使いにくい場合などではインスリンやGLP-1受容体作動薬も併用することがあります。内服薬も注射薬も、現在では週1回型の薬や、2種類の成分を1つにまとめた「配合剤」など、実に様々な種類の糖尿病薬があり、ひとりひとりの糖尿病の状態に応じて医師が選んで患者さんに提案・処方を行います。

 

食事療法、運動療法については、「あれもダメ、これもダメ」ではなく、あなた自身が無理なく実践できる方法をとることが大事です。専門の管理栄養士や療養指導士からアドバイスを受けながら実践するようにしましょう。

 

※ 最近、一部の週刊誌などで、糖尿病薬を含めた特定の医薬品を「飲んではいけない」と否定する記事や、ある種のサプリメントや民間療法などが「糖尿病に効果がある」などと謳う書籍やインターネットサイトなどが散見されます。薬を服用することで生じた副作用や弊害については、医療機関や製薬会社が患者さんへの補償などを行う責任を負っていますが、薬をやめて健康や生命が損なわれても出版社などが責任を負うことは無く、全てがあなたの自己責任になってしまいます。また、糖尿病などへの効果をうたっている「治療法」やサプリなどの中には、すでに10年以上も前に科学的根拠が否定されているものや、中には死亡例まであるものも存在します。あなた自身が正しい情報を入手したり、専門医に相談するなどして、責任を負わない人達の金儲けの道具になってしまわないようにつとめてください。

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糖尿病は「治る」のでしょうか?

残念ながら、少なくとも現時点の医学では糖尿病という病気を「治癒」させるには至っていません。2型糖尿病では、糖尿病と診断された時点で膵臓のインスリン産生能力は健常者の約50%に低下しており(図参照)、そこから低下することはあっても、100%にまで戻ることはありません。一方的に弱っていく膵臓をそれ以上に弱らせないことは、糖尿病を治療する大事な目的のひとつでもあります。

近年は、弱った膵臓を再建する「再生医療」の研究も進んでおり、とくに1型糖尿病では膵臓あるいはインスリン産生細胞の再生による治癒ができる可能性もあります。その日が来るまで、1型の患者さんはいまはインスリンを補いながら、糖尿病合併症が出ないようにコントロールを続けていって頂きたいと思います。

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糖尿病でとくに気をつけるべきことは何でしょうか?

なんといっても、前述した「糖尿病合併症」の発症や進行をさせないようにすることです。以下、それぞれについて説明します。

①糖尿病神経障害・足壊疽

糖尿病神経障害は最も早期にみられる合併症であり、足の知覚低下・知覚異常からはじまり、そこに動脈硬化による血行障害や免疫力低下による感染症が重なると糖尿病足壊疽につながってしまいます(年間約10,000本の足が糖尿病で失われているのが現状です。)

対策として、まずは足の感覚異常(足裏に何かが貼りついたような感じなど)がないか、場合によっては神経伝導速度の検査なども行われますが、それ以上に重要なのが「定期的な足のチェック」です。感染などにつながりやすい巻き爪(陥入爪)やたこ(胼胝)などの処置や、水虫があればその治療など、かかりつけの病医院で定期的にチェックしてもらいましょう。

当院は糖尿病患者さんの足を守るためのフットケアに取り組んでいます。詳しくはこちらのページをご覧ください。

②糖尿病網膜症

年間約3,000人が糖尿病で失明しており、若・壮年者の失明原因の大多数を占めているのが糖尿病網膜症です。人間ドックなどで行われている眼底カメラでは初期の網膜症が見つけられない場合も多く、検査で異常なしと言われても、最低でも年1回は眼科での眼底検査を受けましょう。

③糖尿病腎症

腎臓は、腰よりやや上側に左右1個ずつあり、血液中から老廃物をこし取って血液をきれいにするほか、体内の水分・電解質・酸アルカリのバランス調整を行っている臓器です。1つの腎臓の内部に約100万個ある、尿をつくる「ネフロン」と呼ばれる組織の中にある「糸球体(しきゅうたい)」が糖尿病によって障害され、腎臓の働きが低下するのが糖尿病腎症です。

糖尿病腎症の初期はアルブミンという小型のタンパク質が尿中に増えはじめる状態ですが、やがて一般検尿でも(2+)以上の反応を呈するほど尿タンパクが増加し、それと同時に腎臓の機能を点数化した「GFR(eGFR)」という値が急速に低下していきます。最終的には腎臓の機能が廃絶し、人工透析を毎週約3回、一生継続していかなくてはならない状態になります(わが国で人工透析になる原因として圧倒的に多いのが糖尿病腎症です。)

糖尿病腎症の有無や度合いを調べるために、尿検査(尿中アルブミンや尿タンパク)血液(eGFR)を定期的にチェックし、もしも腎症があれば早期の段階から「高血糖」「高血圧」「高塩分」「3つの高」を避けていかなくてはなりません。

当院では尿タンパク・尿アルブミン検査(定性検査)のほか、eGFRも院内で検査しており採血後10分強で結果がわかります。また、腎症になってしまった方が透析にならないよう「糖尿病透析予防指導」を実施しております。詳しくはこちらのページもご覧ください。

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糖尿病になってしまったら、仕事とか、日常生活はどうなってしまうのでしょうか? 生命保険に入れないとかの不利益もあると聞いたのですが…

40年ほど前までは、糖尿病の治療薬も少なく、またインスリンの在宅自己注射も認められていなかったため、糖尿病になったら「療養」のために入院したり、インスリン注射のために頻回に通院する必要などがありました。しかし、糖尿病の治療薬はとくにここ20年くらいで著しく進歩し、1日1回、ものによっては週1回、内服もしくは自宅注射することで血糖値が安定するようなお薬や、低血糖や体重増加などの低血糖を起こしにくい薬が今では主流になってきており、様々なライフスタイルや仕事形態の患者さんに十分対応できるようになってきています。また、インスリン自己注射にて血糖値をコントロールしながら妊娠・出産できた糖尿病の女性も何人もおります。

当院は週2回ずつ夜間・早朝の外来を実施しておりますが、夜間早朝外来には日々の仕事でお忙しい中、服薬や通院を続け血糖コントロールをしている方々が数多く受診されております。このことからも、「糖尿病」があっても日常の生活や仕事が制限されるようなことなどは全くないのです。

生命保険への加入についても、最近は糖尿病があっても加入できるような保険商品も数々登場しております。「日本IDDMネットワーク」のサイトに一覧がありますので詳しくはこちらをご覧ください。

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糖尿病では、医療費はどれくらいかかるのでしょうか?

糖尿病の病型(1型・2型)や合併症の有無・程度、自己負担の割合によって変わってきますが、服薬治療をしている2型糖尿病の方であれば、クリニック窓口では3割負担で大体3000円ないし4000円位になることが多いです。

お薬代は薬局で別途かかりますが、医療費が気になる方に対しては、既存薬と同成分で薬価が抑えられたジェネリック医薬品やバイオシミラー製剤、また2種類の成分を1つにまとめた配合剤などを用いてお薬代を抑えることもできます(ジェネリック医薬品が存在しないお薬もありますが、同効で少しでも安いお薬に変更するなどの対応をしています。) ご遠慮なくご相談ください。

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糖尿病の通院をやめると(あるいは、以前通院していたがやめてしまっているのですが)、どうなりますか?

先に述べた通り、糖尿病は治療がなされなければ、仮に症状が無くても確実に進行する病気です。初診のうちは合併症がなかったのに、中断、また中断とするうちに、腎臓の機能が低下し糖尿病腎症を発症してしまった方が当院でもおりました。糖尿病腎症が原因で末期腎不全・人工透析になった人のほぼ全員に、少なくとも1回以上の糖尿病治療中断歴があったということも報告されています。

医療費を気にされるあまり、受診・通院をやめてしまうケースもありますが、中断しているうちに糖尿病が進行し、合併症まで出現してしまうと、中断前よりも余計に医療費がかかってしまう結果となります。人工透析に至ると医療費は年間約500万円かかるとも言われていますが、新型コロナ対策に多額の公費がつぎ込まれている中、今まではほぼ公費で賄われてきた透析医療費に、患者負担分が生じる可能性もゼロではありません。

高血糖の状態では、血液中の免疫細胞の機能が低下して、ウイルスや細菌に感染しやすくなることも以前から知られています。2020年夏に発表された医学論文では、糖尿病患者における新型コロナウイルス感染症(COVID-19)について、血糖コントロールが良好であればCOVID-19による死亡率は健常者と同じ1%程度にとどまったものの、血糖値180mg/dl以上だった患者では死亡率が11%にまで上昇したとのデータもありました。

この他にも、通院中断によって血管傷害が無自覚のうちに進行し、心筋梗塞などである日突然死してしまった症例もあります。

もしあなたが、もしくは身近な人が、糖尿病の治療を中断していたら、直ちに医療機関(どこでも構いません)を受診するようにしてください。糖尿病や糖尿病合併症、さらには新型コロナウイルス感染症からあなた自身やあなたの大切な人を守るために必要なことです。

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結びに

糖尿病は「ただ血糖が高くなるだけ」「太っている人がなる」などとお思いになっている方も多いかも知れませんが、実は「誰にでも起こる」ものであり、「何の症状も無くても進行する」ものであります。
糖尿病が気になって来院される患者さんは、こわい、恥ずかしい、つらい…様々な思いを抱えてこられ、また周囲の理解が得られない、医療費が心配などの悩みも抱えておられることもあります。
私たちさっぽろ山鼻内科は、2018年の開院以来、数々の患者さんと向き合い、患者さんひとりひとりが糖尿病をよく理解し、患者さんおのおのが仕事や家庭、人生をいつも通りに過ごし、営んでいけるよう、日々の診療やケアに尽力しております。
「すべてはあなたのため」の糖尿病医療。そのために、私たちはどんな努力も惜しみません。

糖尿病が少しでも気になったら、疑問に思ったら、いつでもご遠慮なく当院のドアをあけていらしてください。