2018年11月15日に当院が開院し、平成から令和へと時代をまたぎ、また2020年からのコロナ禍により、糖尿病診療を含めた医療体制は果たしてどうなるのか、不安や不確実さを孕んだ日々の中、2023年11月に当院は開院満5周年を迎えました。病型・病態はもとより、様々な背景をもつ患者さんの診療に携わる中で、私たちも様々なことを学び、経験させて頂きました。ここに、2018年11月の開院からの5年間を、集計データとともに振り返りたいと思います。

※過去分のまとめは こちら にございます。

2018年の開院当初は、糖尿病専門医のいる、糖尿病内科のある病院やクリニックが山鼻地域やそれ以南では殆どなく、「糖尿病クリニック」で何を診てくれるんだろう?と思われた方も多かったのではないかと思います。しかし、当院ホームページやSNS、FMラジオなどで当院のことを知ってご来院された方など、当院に通院される糖尿病患者さんは年度を追うごとに増加し、その人数は2023年10月末(開院5年)時点で800人を超えました。
長年通い慣れた病院・クリニックの先生が退職・閉院された等々の理由にて当院へご紹介となった方も数多く居られました。どの患者さんも、慣れ親しんだ元の通院先で様々な「思い出」や「物語」があったと思います。我々は、そのような患者さん一人一人の想い、ご紹介下さった先生方の想いを大切に、当院にてまた新しい物語を紡いでいくことが出来るようにという想いを込めながら診療にあたっております。

 

当院の糖尿病患者さんの約7割は中央区内にお住まいの方ですが、ここ2~3年はとくに山鼻・幌西・曙・南円山地区といった、当院まで徒歩や市電などにて通院できるエリアからの患者さんが増えてきており、開院5年間で当院が中央区の南側において糖尿病を専門的に診療する施設として認知が広まったと感じております。中央区外では南区にお住まいの患者さんが多く、全体の10%を上回りました。ほか、豊平区や白石区の方も引き続き増加傾向にあります。

 

開院して1~2年目までは、これまで他院に通院されていた方が「自宅から近いところに当院ができた・当院があるのに気づいた」、また「糖尿病については糖尿病専門医に診てもらいたい」ということなどで転医されるケースが目立っておりましたが、最近は「健康診断で血糖高値や尿糖陽性を指摘された」ことで初診される患者さんが大幅に増加したのみならず、他の医療機関からのご紹介にて初診される患者さんも全体の20%以上を占めるようになりました。
例えば、定期で通院している・かかりつけにしている病院・医院に糖尿病専門医・専門外来がなく、糖尿病だけは当院でというパターンで当院を受診・通院されている(その他は元々の病院・医院で診てもらう)患者さんも居られます。これからも、「糖尿病」について気になることがあればお気軽に当院へご相談頂ければと思っております。

 

糖尿病は主に「1型」「2型」の2つの病型があり、その両者で治療方法は大きく異なってきます。そのため、当院を初診されかつ過去に糖尿病治療歴のない患者さんについてはほぼ全例で「1型か2型か」の病型判定を行っております。
一般的な統計では、糖尿病患者さんの約95%が、すい臓から分泌されているインスリンの働きが悪くなっている「2型糖尿病」であり、当院での集計結果ともほぼ一致しております。当院初診・初療患者さんの約40~50人に1人くらいの割合で、注射によるインスリン補充を必要とする「1型糖尿病」が見受けられますが、かつて行われていたような「即入院」では決して無く、通院しながらインスリン治療や自己血糖測定等の導入を、当院開院以来数々の患者さんに対して行って参りました。
ほか、妊娠中におこる「妊娠糖尿病」についても、各病・医院の産科と連携しながら当院で診療した実績もあります。